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[2007年10月12日更新]
| 山本 義春 氏 |
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東京大学大学院教育学研究科
身体教育学講座教授 (教育生理学分野担当)
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ある患者が治療によって数値としては改善したけれど本人は納得しない、という状況と、数値は変わらないけれど本人が納得した、という二つのケースの場合、どちらが価値として高いか。近代的な西洋医学では数字を下げることに比較的重きを置いてきましたが、もちろんそれは重要なことなのですが、患者が満足したという主観的な情報をもっと重要視すべきだという声も高まっています。私たちのような分析の専門家がこういう問題に直面したら、とりあえず両方のデータをとって関係をみる、そして総合的に判断するようにしています。
私と心療内科の先生たちとで始めた、「EMA」(生態学的経時的評価法)という測定手法があります。これは、7、8項目の簡単な質問を携帯情報端末を用いて何回も質問して、患者さんの気分や身体症状を把握していこうというものです。通常、主観的アンケートの妥当性というのは2回やったら合っているかとか、似たような質問と合っているかとか、そういうことを検証します。「EMA」の場合、加えて時間効果を考慮します。同じ質問でも、1時間前と後とでは状況が異なり、答えが違うこともありますから。他のアンケートに見られるような、一日の中で気分や身体症状がまったく揺るがない人がいる、ということを前提に検証すると、リアリティがなくなってしまいます。
仮に、今の気分を言ってくださいといった時、それがちゃんと妥当性をもつかというと、その判断は難しいでしょう。しかし、病気の症状とかリラックス度というのは、一日の中で大きく揺れ動いているので、その都度測っていくのは重要だと言えるでしょう。
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装置の小型化によって、こうした行動や感情がフィールドで測定可能となっています。重要なのは、どのようにデータをとるかということですが、例えばその人はいつも文句ばかり言っているのか、あるいは今だけそうなのかを知るには、一日の中で何度か同じ質問をすれば分かります。
商品評価のような場合でも、何回も聞くことが大切だと考えられます。ただ、リラックス度などは非常に抽象的な概念ですから、それをダイレクトに聞くと、人によって答え方が違ってきます。リラックス度のような心理的概念の構成要素が、人によって違うためだと考えられます。そこで、心理測定では、その構成する一つ一つの要素について質問を用意して、総合得点で判断するということをやっています。EMAを行う際も、このような多角的質問項目を用意する必要があると思います。
焚き火の心拍ゆらぎの測定では、一日のうちにいつ焚き火を見たのかということや、そもそもゆらぎの大きさがいちばん大きくなっている時間帯はないのか、といった情報を抑えることも大切です。つまり、サーカディアンリズムの影響ということがありますから。 さらに、焚き火の心拍ゆらぎ実験では、より多面的な測定をしてもらいたいと思います。単に焚き火の前に座って測るのではなく、目隠しをするとか、音を聞かせないとか、炎のビデオを見せるとか、より多面的な見地から炎が人にどう影響するのか、ということを割り出してほしいですね。人への影響力という点で、炎には何かあるのではないかという疑問を少しずつ解消していくと良いでしょう。フィールドでの実験がしやすくなった分、こうした総合的な実験デザインということが今後、重要となってくると考えられます。
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| 心拍ゆらぎ、総合的な実験デザインが今後、重要となってくる |
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| 人の感情を定量的に測定できたら・・・、そんなことが可能になってきそうなお話を伺いました。測定装置の小型化、パソコンの高性能化によってフィールドでの測定が可能になってきたとしても、多面的かつ総合的な評価方法をデザインすることが商品開発にも必要だということがわかりました。 |
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