HOME ローハスってなに? ローハスインタビュー ローハス対談 地球環境を考える MakeLohasブログ 用語集
ローハスインタビュー

Vol.20 [2007年3月28日更新]
岡安 雅人 氏 プロフィール
木造住宅設計所 萌芽舎一級建築士事務所 主宰
 PDF形式でご覧になりたい方はこちら


バウビオロギーとロハス、地球環境、省エネとの関係

バウビオロギー建築
バウビオロギーとロハスとの共通点を挙げると、健康が軸になっているところでしょうね。木をたくさん使う家は燃やさない限りCO2をその分固定しますし、地場の木を使えば輸送のための化石燃料消費が少なくなります。そういう面では地球環境にやさしいといえるでしょう。私は埼玉でNPO法人「杢の家をつくる会」の会員になっていて、木材は基本的に地元に近いエリアの材を使っています。この会はバウビオロギーの表現は使っていませんが、やっていることは同じことなのです。なかなか全部の材が近場では揃いませんが、大工さんに聞いても、秋田県産の材料で埼玉県に建てても、ワレとか収縮の具合が地元材とは違うようです。秋田と埼玉程度の距離でも差が出てくるのですね。

また人や生物、健康が中心の発想なので、省エネとは直接関係はありません。たとえば木は断熱材と比べると熱伝導率が一桁違います。ただ熱容量とか熱が逃げやすいという面もあるので、バウビオロギー的には優れているといえます。もちろんエコロジーのひとつなので省エネを目指してはいますが、イコールではありません。健康的に暮らすために、無垢の木を使って居心地がいい空間をつくることが目的です。

施主に関しては、言葉の認知度がまだまだ低く、バウビオロギーの理念を説明するより、地元の木を使いましょう、漆喰の壁にしましょうという具体的なディティールから入らないと伝わりません。バウビオロギーだからと依頼してくる人はいません。天然素材を使いましょう、地元の木を使いましょうから始まって、寝室に電気を通さないという話に繋がっていく流れが多いですね。


バランス感覚がもっとも重要になってくる

バウビオロギー建築
25の指針には、立地を工業地帯から離せ、などという日本では選択の余地が少ない内容も多くあります。でも、すべてを満たさないとバウビオロギーではないとか、これさえ押さえればバウビオロギー建築だ、という条件はなく、バランス感覚が大事だと思います。私の自宅は基本的には板張り中心で、外壁も板張りです。後は紙やコルクなど、できるだけ天然素材を使っています。サッシも木製ですが、気密性は求めていないのでコストは意外に安い。ペアガラスではないですが結露はありません。この辺はバランス感覚だと思います。

もともと20年ほど前に建築家としてスタートしたときには、最先端技術やビル、高層マンション指向だったのですが、仕事をしていくうちに何か違うと思いはじめて、健康住宅を手がけるようになりました。その当初のテーマは、ひとつは日本の伝統的な建築、もうひとつは逆に先端的なシステム。双方を組み合わせた建築ができないかとスタートしたのです。ところが、いろいろチャレンジしてゆくと矛盾が出てきて、結局、伝統的な建築に戻っていくことになりました。

たとえば太陽熱を使って空気を暖めると、それによって結露が発生したり、基礎が温まってシロアリが住みやすい環境になるというような、想定していなかった問題をわざわざ引き起こすケースが出てきたこともあります。気密住宅にしてもそこからシックハウスの問題が生まれ、24時間強制換気しなさいと後付けのように問題が広がっていく。設計や機械で解決できることもあって、一概にNGではないのですが、結局は余計なことをしないで伝統建築に戻るほうがいいんじゃないか。そういう思いが強くなってきています。

日本の伝統建築は非常にバランスがよく、バウビオロギー的に優れた環境だと思います。一言でいうと、造り込み過ぎないバランスのよさ。土地や地域にあった建物にするという部分は風水家相に通じる内容で、昔の建物はできています。さまざまな研究会が出てきたのは2、3年前。バウビオロギーの指針に対してどう具体化していくのかというのがこれからの課題です。ただ、考えれば考えるほど、日本の伝統的な建築に戻っていく気がしています。


本日のキーワード
バウビオロギー、日本の伝統的な建築に戻る、造りこみ過ぎないバランスのよさを大切にする

MakeLohas 編集部コメント
バウビオロギーは以前の坊垣氏へのインタビューでも触れたように、日本でもじわじわと広まりつつある概念です。通常の機械、科学の領域だけでなく、なんとなく人が感じられるもの、気持ちがいいもの、なども取り入れ住まいを考えています。岡安氏によるとこのような考えを一周すると、昔ながらの日本家屋の造りに戻ってくるそうです。電気や機械設備でとても便利になった現代ですが、人、建物、そして暮らし方まで含んだバウビオロギーの概念を参考にしつつ、ロハス的な住宅環境づくりを考えて生きたいと思います。
MakeLohas 編集部


前のページへ | 1 2 3 | 次のページへ

こちらからこのページをPDF形式でご覧になれます。 PDFファイルを表示
PDFファイルをご覧いただくためにはAdobeReaderが必要です。
AdobeReaderをお持ちでない方は、こちらからダウンロード(無料)してご利用ください。

▲ページトップへ

Contents
ローハスインタビュー
Vol.23:[2007/10/12]
山本 義春 氏
東京大学大学院教育学研究科
身体教育学講座教授 (教育生理学分野担当)
Vol.22:[2007/3/29]
片山 右京 氏
Team UKYO 代表 大阪産業大学客員教授
Vol.21:[2007/3/28]
岡安 雅人 氏
木造住宅設計所 萌芽舎一級建築士事務所 主宰
Vol.20:[2007/3/23]
小町 晴久 氏
小町建築アトリエ 代表
Vol.19:[2007/3/16]
中川 重年 氏
京都学園大学バイオ環境学部 教授
全国雑木林会議世話人
Vol.18:[2007/2/28]
鉾井 修一 氏
京都大学大学院
工学研究科 建築学専攻 教授
Vol.17:[2007/2/23]
甲斐 徹郎 氏
株式会社チームネット代表取締役
エコロジー住宅市民学校 主催
Vol.16:[2007/1/31]
涌井 雅之 氏
桐蔭横浜大学 特任教授
Vol.15:[2006/11/30]
米森 公彦 氏
一級建築士事務所
米森建築設計事務所 主宰
Vol.14:[2006/9/22]
安月 浩 氏、絹山 実 氏
ガス暖炉メーカー
株式会社ダンロックス
Vol.13:[2006/8/25]
丸谷 博男 氏
建築家
一級建築士事務所 (株)エーアンドエーセントラル 代表
Vol.12:[2006/6/29]
長房 直 氏、加瀬澤 文芳 氏、中安 博司 氏
住まいづくりフォーラム
Vol.11:[2006/6/23]
佐々木 龍郎 氏
建築家
株式会社佐々木設計事務所 代表取締役
Vol.10:[2006/3/30]
尾島 俊雄 氏
早稲田大学建築学科 教授
Vol.09:[2006/3/17]
堀尾 正靭 氏
東京農工大学大学院
共生科学技術研究部 教授
Vol.08:[2006/2/13]
望月 久美子氏
株式会社東急住生活研究所 所長
住文化研究協議会 企画委員会 委員長
Vol.07:[2006/1/27]
金子 成彦 氏
東京大学大学院
工学系研究科機械工学専攻 教授
Vol.06:[2005/12/19]
坊垣 和明 氏
独立行政法人建築研究所
首席研究員
Vol.05:[2005/11/28]
駒城 素子 氏
お茶の水女子大学
生活科学部人間・環境科学科 教授
Vol.04:[2005/10/5]
山本 良一 氏
東京大学生産技術研究所 サステナブル材料・国際研究センター 教授
Vol.03:[2005/9/9]
秋元 孝之 氏
関東学院大学工学部建築学科 教授
Vol.02:[2005/8/19]
尾島 俊雄 氏
早稲田大学建築学科 教授
Vol.01:[2005/7/29]
小畑 晴治 氏
独立行政法人都市再生機構
都市住宅技術研究所 所長

私たちについて著作権&リンクについて個人情報のお取り扱いについてサイトマップお問い合わせ
Copyright 2008 TOKYO GAS Co., Ltd. URBAN LIFE RESEARCH INSTITUTE All rights reserved.