建築家が図面を描く時は、例えば1/100のスケールでプランを考えます。いわば原寸の最終的な形を、図面の段階で1/100に落として考える。スケール感が日常とは違うわけですから、自分の中に原寸の物差しだけではなくて1/100の物差し、あるいは大げさに言うと1/100万とか1/1,000万といった物差しを別に持つことが重要だと思います。
地球環境を考える時などに、例えば太陽と地球の距離は、普通に考えれば想像し難いほど離れています。そこで私は1/1,000万のスケールで置き換えてみます。そうすると太陽までが15km。なんとなく、自分の家から吉祥寺あたりとか、五日市あたりとか、具体的な距離感で感じることができます。この物差しでは、太陽の直径は139.2mくらいになります。太陽までの距離は1億5,000万kmくらいで、地球の直径は確か12,756km。この数字が感覚的に理解できますか、と聞かれれば全くわからない。しかし1/1,000万のスケールであれば、地球は直径が127cmくらいの球ですから、一回り4mの紐をぐるっと回した大きさになります。
私は20年くらい前から地球と太陽の関係をこのような物差しにより具体的に想像するようにしています。極端な例でしたが、大小異なるいくつかの物差しが自分の身体の中に入っていれば、距離感や大きさが自分なりに把握できるようになります。地球の大きさがどのくらいで、月がどの辺にあってとか、人工衛星がどの辺飛んでいるかとか、そういうことも具体的に理解しやすいのです。
このような空間の認識は、住宅の設計でパッシブ・ソーラー・システムを考える時などに大変役立ちます。
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