 |
 |
 |
 |
 |
 |
|
|
 |
 |
 |
|
[2007年2月23日更新]
| 甲斐 徹郎 氏 |
|
 |
株式会社チームネット代表取締役
エコロジー住宅市民学校 主催
|
 |
 |
 |
|
|
|
| ■自分を手段として他人を動かしていくテクニック、「エゴ合わせ」 |
街づくりや環境づくりで、近所の人と仲良くなることから始めるというのは、なかなか難しい面があります。そこで、ちょっと別な考え方をしてみましょう。それは、得か損かで関係を価値化するというということ。お互いに得をすれば、その結果、人間関係もあとからついてくると考えるのです。そういう考え方をすると、自分のエゴ(得)と他人のエゴ(得)が一致することで、物事が進みやすくなると考えられます。
そして、次に手段としてコミュニティを使うのです。個人では限界があることも、コミュニティ単位であれば、より大きな価値を得ることができます。例えば、一台のクルマをみんなで利用するカーシェアリングですが、私たちが行ったのは、2世帯で1台購入しました。ルールに則って利用すればスムーズな利用ができ、購入する費用が半分になるのはもちろん、駐車場代や保険などの維持費も半分ですみます。このようにコミュニティを手段にした瞬間、合理的にいろいろな可能性が見えてくるのです。もし、8世帯でタイプの違う4台を所有するとしたら、半分の維持費でいろいろなタイプのクルマを乗りこなせるということも可能になります。
コミュニティを手段にするためには、合意形成が必要となります。合意形成とは簡単に言うと、他人と自分のエゴを合わせることです。要するに「自分のためにやる」が基本ですから、他人とのエゴを調整しておく必要があります。では、他人のエゴにどう対応するのか。それは、一つは相手の「感情の対立」と「利害の対立」を分けて考えられる人間関係をつくるということ。感情と利害を混同すると収拾がつかなくなります。感情の対立は個性に起因し、個性は変えられないので調整不可能と考えられます。これは非常に重要なことで、ここで話がもめるケースが少なくありません。感情が対立したら、できるだけ早く、握手して終わらせるべきです。
私の場合、利害の対立において、合意形成をしていくまでのプロセスを重視します。「仲良くなることに一生懸命なろうとしないで、自分のために協力してください」と言い続け、感情と利害を常に分けながら、近づきすぎず、離れずという、距離感を大事にした関係を築くトレーニングをしていくのです。これができるようになると、様々なコミュニティのルールなどもつくりやすくなります。
|
| ■住宅から街へ。住みやすい街づくりには緑と景観を利用し「価値」にする |
東京近郊には秩父の山をはじめ多くの山があり、南側には東京湾があります。そして、海と陸の温度差によって海陸風が吹きます。地表付近では、昼間は内陸の空気が暖まるのが早いため気圧差ができ、海の冷えた空気が内陸へ引き寄せられます。そのため東京の昼間の風は概して南風になります。一方、夜は、昼とは逆に、内陸の方が早く温度が下がるので、内陸部から海へ空気が流れることになります。
こうした風を街までつなげてきたのが、街中の緑であり川でした。個々の住宅などで樹木を植えていたことで風が家々を吹き抜け、自然の空調装置ができていたのです。しかし、昨今問題となるヒートアイランド現象をみると、現在は、高いビルが乱立し、川はふさがれ、林はなくなり、風の道が少なくなったことなどと、ビルやアスファルトが高温に保たれたままになり、またクーラーなどの使用により、内陸部の温度が下がらないことが原因で、本来のメカニズムが崩れ、異常な気象状況が現れていると考えられています。
これらを解決する方法として、3つの関係性に着目しています。一つは気候の連続性、二つ目は景観の連続性、三つ目は利用の連続性です。
気候の連続性というのは、家の外にある樹木が局所的な気候をつくり、それを自分の家とつなぐという関係性です。北側に位置する大きな樹木は冷気を生成するというメカニズムがわかっています。この冷気を家の中に入れるように工夫すればこの樹木は自然の空調装置となるのです。例えばある家の南の庭に植えられた樹木は、その南隣の家にとっては北側の樹木と捉えることができます。そのお隣の庭の樹木とつながるように、自分の家の北側に樹木を植えれば、その樹木たちがつくる冷気がつながっていきます。
 |
例えば、公園に接する家が、公園の緑と葉がふれあうように自分の庭に樹木を植えれば、その家は公園の中の家のように見えるでしょう。このように、公園に接する家々が、公園の樹木と接するように樹木を植える、という小さな関係をつくり、それを次々と連続していったら、公園の冷気は、その連続する樹木を介して、公園から離れた家にまでつながることが可能です。これは、グリーンチェーンという緑のつながる街並み構想として提案し、実際に流山市などで進んでいます。
景観の連続性により、私たちが窓から外の風景を見た時、どんな風景を豊かだと感じるかというと、遠くまで連続する奥行きのある風景です。奥に公園があったとします。自宅の庭に、その公園の樹木と視覚的につながるように樹木を配置すれば、広々とした豊かな風景に見えます。これは日本で古くから使われている「借景」というテクニックです。
利用の連続性は、こうした気候や景観を日常的に楽しむ生活空間として使えるようにすることで、その人にとって緑環境の価値がさらに大きな価値となるということです。緑環境を生活環境として利用し、その恩恵を日常的に受けることは、同時に緑の管理意識を高めることにもつながります。
このように、ちょっとしたルール(拡張子)を家づくり、街づくりに加えるだけで、美しい街をつくることができるのです。この基本にあるのが、「自分のためのエコロジー」という考えです。人のためというより、まずは自分が豊かな環境を得るために、外との関係をつくっていくということです。
|
 |
|
| 自分のためのエコロジー、生活戦略、エゴ合わせ、グリーンチェーン |
|
|
 |
|
| 自分が望む暮らしをするために他人を動かす「エゴ合わせ」の考え方が興味深いです。ビジネスで言うところのwin-winの関係に近いのでしょうが、ビジネスのように割り切れないのが隣近所とのお付き合いでしょう。閉じた空間で、スイッチ一つで自分だけの裕福な暮らしを得ることは今でもできます。ただ、個人が意識するだけで街全体でつながった心ある暮らしもつくれる。その第一歩として他人との「エゴ合わせ」を意識してみてはいかがでしょうか。 |
|
 |
|
|
| ※ |
PDFファイルをご覧いただくためにはAdobeReaderが必要です。
AdobeReaderをお持ちでない方は、こちらからダウンロード(無料)してご利用ください。 |
|
|
 |
|
 |
 |
 |