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ローハスインタビュー

Vol.16 [2007年1月31日更新]
涌井 雅之 氏 プロフィール
桐蔭横浜大学 特任教授
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ロハスのポイントは「緑でつなぐこと」と「生かされていることに気づくこと」

繰り返しますがロハスは何かと言えば、つながりを取り戻すためのキーワードの一つだと考えています。僕の立場から言うと、繋がりを実現する上に最も効果的な要素が「緑」なのです。緑を繋ぎ手にして、人と自然はつながり直すことができます。その配置により効果的に都市と自然もつながる。そうした設えを持つことにより、人と社会のより良いつながりも生み出せる。なぜなら、緑は人々にとって共通して好ましく、それへの参加性が非常に高いためです。もっと言うと、緑の空間が巧みに配置されれば、それを楽しむために世代と世代もつながりを持つ。家族と家族のつながりも取り戻せるかもしれません。

愛・地球博 バイオラング壁面緑化
愛・地球博
バイオラング壁面緑化
例えば花を1本植えるとか、緑のある庭で犬を飼うこともそう。そういうことだけでも家族間のコミュニケーションが回復することもあるわけです。そのようなつなぎ直しのツールとして実に緑は有効です。1本の緑、あるいはわずかな花であっていいから、それを見つめることによって生きているもの、あるいは生物の社会と人間との深い関わりというものを見つめ直すことができるきっかけになるはず。そう思いませんか?
 
それともう一つのポイントは、われわれは生きているのではなく、生かされているという事実に着目することです。生物学に「アポトーシス現象」というものがあります。これはプログラム化された細胞死のことです。例えば、鮭が川を遡って子供を産むと死んでしまいます。なぜ死ぬかというと、疲れ果てて死ぬのではなく、あれは産卵の直前に自己免疫疾患を自ら起こす遺伝子にスイッチが入るのです。

鮭は卵を生むことで次に命をつないでいきますが、命をつないでいくはずの自分自身が産んだばかりの子供を食べてしまってはいけないですよね。それで、自己免疫疾患のスイッチを入れて死ぬのです。鮭は卵が自分の子供であるという認識がもてないから、そういうかたちで自分の生を閉じるのです。

愛・地球博 日本庭園
愛・地球博 日本庭園
人間も含め、高等動物の寿命というのはおおむね、性成熟年齢の2倍です。16才で子供ができるようになるとすれば、成人の寿命は32才。自分の子供が子孫を残せる性成熟年齢になった時が寿命です。このように人間のみならず、すべての生きているものは命をつないでいくという役割を担っています。だからそのつながりを意識して大切にするというのが、生きている意味なのです。そういう本来の意味があるのに、人間は自分が生きていると思っている。生かされていることを忘れている。勘違い、あるいはおごりですよね。

だから生かされているという謙虚な気持ちになり、自分の周辺や自分の生活態度を見つめていくということが大事だということです。このあたりを考えるためのキーワードがロハスなのでしょう。


ロハスは人間が生きていくことを表す表現方法の一つ

涌井 雅之 氏
ロハスは単なるライフスタイルではなく、ましてやファッション性でもない。さきほどもお話しましたが、ロハスは自分がなぜこの世に存在しているのか、未来をどうつくっていくのか、それからありとあらゆる生き物との関係の中で自分がどうあるべきか、それを考えるキーワードなのです。

ファッションとか、それはそれで構わないですよ。ノーとは言いません。でも本当のロハスの意味はそんな見せかけのものではないと思います。叡智に富んだ人間が直感的に、このままでは何かまずいのではないだろうか?と感じたもの、そのまずい生き方、人間の存在だけに焦点を絞った一人よがりな状況を改善するために「ロハス」という表現が生まれたのではないでしょうか。貧困にあえいでいるわけではなく、戦乱の最中でもない日本に暮らす我々、逆に非常に豊かで恵まれた社会に生きていながら、なぜこうした生き方ではまずいと思うのか。そこにはある意味で、我々の体内にセットされている人智を越えた力、無意識の感覚、そう生命の潮流がもたらした感覚とでもいうべきものが、我々を覚醒させようと、インスピレーションを放っているのかも知れませんね。

貧困や戦乱にあえぎ、今を生きることに必死な人たちはそういうインスピレーションを受けるゆとりもありません。そこでロハス層と呼ばれる一握りの人にインスピレーションをもたらし、そうした厳しい人生を強いられ、ゆとりを持てぬ人々の分まで、自然、いや一つしかないわれわれの船が沈没しないよう行動しろといっているのかもしれません。つまりロハス層は豊かで恵まれているという立場を自覚し、感謝しながら、社会や他の生物に貢献していく手立てを考える義務があるのです。
 
生きていくことに必死な人たちに対して、われわれの持っている当面のゆとりを感謝し、つなぎ目をつくろい、貧困や環境の危機にそうした恵まれた位置にいるものの義務として対応していく、そういう姿勢が我々に必要なのではないでしょうか。


本日のキーワード
関係が切れてしまった現代、生物社会の一員である等身大の人間、互助と共助、緑でつなぐ、生かされていることに気づく、ロハスの意味

MakeLohas 編集部コメント
生物や植物、自然に造詣が深い涌井先生の言葉は、ロハスという言葉に疑問を投げかけています。確かにロハスはファッション性が目立ちます。健康や環境を大切にするために、手段としての楽しさやファッション性は重要かもしれません。しかし等身大の人間、つまり地球上の生物としての関係を維持するためには、私たち皆が気づき、実行すべき重要なこともあるというのが先生のお話です。ロハスを謳うならその点を見失わないようにしなければなりません。私たちも改めてその視点から、LOHAS的な住まいとエネルギーについて考えていきたいと思います。
MakeLohas 編集部


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Contents
ローハスインタビュー
Vol.23:[2007/10/12]
山本 義春 氏
東京大学大学院教育学研究科
身体教育学講座教授 (教育生理学分野担当)
Vol.22:[2007/3/29]
片山 右京 氏
Team UKYO 代表 大阪産業大学客員教授
Vol.21:[2007/3/28]
岡安 雅人 氏
木造住宅設計所 萌芽舎一級建築士事務所 主宰
Vol.20:[2007/3/23]
小町 晴久 氏
小町建築アトリエ 代表
Vol.19:[2007/3/16]
中川 重年 氏
京都学園大学バイオ環境学部 教授
全国雑木林会議世話人
Vol.18:[2007/2/28]
鉾井 修一 氏
京都大学大学院
工学研究科 建築学専攻 教授
Vol.17:[2007/2/23]
甲斐 徹郎 氏
株式会社チームネット代表取締役
エコロジー住宅市民学校 主催
Vol.16:[2007/1/31]
涌井 雅之 氏
桐蔭横浜大学 特任教授
Vol.15:[2006/11/30]
米森 公彦 氏
一級建築士事務所
米森建築設計事務所 主宰
Vol.14:[2006/9/22]
安月 浩 氏、絹山 実 氏
ガス暖炉メーカー
株式会社ダンロックス
Vol.13:[2006/8/25]
丸谷 博男 氏
建築家
一級建築士事務所 (株)エーアンドエーセントラル 代表
Vol.12:[2006/6/29]
長房 直 氏、加瀬澤 文芳 氏、中安 博司 氏
住まいづくりフォーラム
Vol.11:[2006/6/23]
佐々木 龍郎 氏
建築家
株式会社佐々木設計事務所 代表取締役
Vol.10:[2006/3/30]
尾島 俊雄 氏
早稲田大学建築学科 教授
Vol.09:[2006/3/17]
堀尾 正靭 氏
東京農工大学大学院
共生科学技術研究部 教授
Vol.08:[2006/2/13]
望月 久美子氏
株式会社東急住生活研究所 所長
住文化研究協議会 企画委員会 委員長
Vol.07:[2006/1/27]
金子 成彦 氏
東京大学大学院
工学系研究科機械工学専攻 教授
Vol.06:[2005/12/19]
坊垣 和明 氏
独立行政法人建築研究所
首席研究員
Vol.05:[2005/11/28]
駒城 素子 氏
お茶の水女子大学
生活科学部人間・環境科学科 教授
Vol.04:[2005/10/5]
山本 良一 氏
東京大学生産技術研究所 サステナブル材料・国際研究センター 教授
Vol.03:[2005/9/9]
秋元 孝之 氏
関東学院大学工学部建築学科 教授
Vol.02:[2005/8/19]
尾島 俊雄 氏
早稲田大学建築学科 教授
Vol.01:[2005/7/29]
小畑 晴治 氏
独立行政法人都市再生機構
都市住宅技術研究所 所長

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