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[2007年1月31日更新]
| 涌井 雅之 氏 |
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桐蔭横浜大学 特任教授 |
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ロハスな社会を実現するために私たちはどんな暮らしをすべきか。またどんな考え方をすべきか。生物と植物に深い知識を持ち、街づくりや愛・地球博のようなプロジェクトなど様々な場面でご活躍されている涌井先生に、人がこれから生きていくための行動哲学としてロハスを語っていただきました。 |
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| 本文中に掲載している愛・地球博の写真は涌井先生が手がけたものです。 |
まずは最近の日常の暮らしについて考えてみましょう。街や社会それぞれの生活レベルにおいて、もろもろすべての関係が断ち切られている状況だと思います。例えば過去と現在そして未来、世代と世代、人と人、人と自然、それから人と社会・・・そうしたシステムや系譜が断ち切られています。これはそうした関係が断ち切らようとお構いなしに、20世紀後半以来合理的で生産性が高い社会を実現すれば良いという一つのムーブメントが起き、それが経済とか富の蓄積、いわば世界の高度成長の後押しをしたことも確かです。
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| 愛・地球博 バイオラング全景 |
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その結果、すべての要素が孤立してしまっていて、個々が放り出されている。そういう意味で言えば、唯一残されているのは、自分が所属している会社等の組織との繋がりだけではないでしょうか。しかしそれも危うい状況です。家族との繋がりもまた、それなりに犠牲を払っていると思います。
中でもとりわけそれが如実に出ているのは自然との関係です。それを至急につなぎ直さないといけません。ロハスというのは、こうした様々な要因の繋がりを取り戻す具体的な振る舞いのことだと思うのです。そうした意味では、ロハスは行動哲学だと言えます。
ロハスというキーワードを得て、そろそろこのあたりで本来の等身大の人間の姿にもどる必要性に基づく具体的行動を指し示したものといってよいでしょう。では等身大の人間とはどういうことかというと、人は少なくとも「生き物」ではなくて、「生物」であるということです。「生き物」というのは他者や外界とのつながりに重心がなくてもよいのです。生き物としての人間は健康を損ねれば医者にいけばいい、薬を飲めばいい。ところが生物ということになると、自分ひとりではなく、他の多数の生物と自分の関係によって生きている。だから人は生物社会の一員であるところに立ち戻るべきであり、これが等身大の人間なのです。
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| ■あらゆるものとつながること、それを意識することがロハスの精神 |
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愛・地球博 日本庭園 |
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高度経済成長を経験した中で、自助と公助という枠組みだけが際立つようになりました。自分が自分を助けることを自助、公が助けることを公助と言います。かつて人と人の関係が密であった時代には、その間に「互助と共助」が欠かせませんでした。つまり、自分が他人を助け、他者もまた時運を助けるという関係です。私は、もう一度そうした繋がりを取り戻さないといけないと考えています。
公権力と私たちの関係がフラットなものとなって以来、納税によって、次第に公がその共を取り込み公共という枠組みを創りました。その結果、我々は公に全てを委ね、街の中で自分たちの果たす役割や関係を公にお任せにしてしまったのです。もちろん税金をちゃんと払い税金に対する関心も持つのは当然ですが、今改めて、自分の住む町や身近な環境に対して自らができること、自らが他とのつながりの中でしなくてはいけないこと、それを互いに実行していくという関係を再構築しなければならないのです。
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| 愛・地球博 日本庭園 |
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もう一つ重要なことがあります。経済成長をひたすら追及する中で、我々は文明的な成果物を日本中に分散させることに何らの躊躇も無く自然を圧迫してきました。しかし我々に圧迫される一方の自然は、私たち人間の生きる基盤そのものなのです。生きる基盤は自然なのだという自覚を持つとするならば、私たちの生活の文明的成果を多少押し戻しても自然との共存を図る、そうした岐路に今我々は立たされているのです。そうした思想を都市に当てはめるならば、コンパクトシティの実現と云う発想につながっていくのです。
文明を追い求めたり、豊かさを追求するのは人間の性です。しかし文明の負荷を拡散させるのは危機的状況にある環境の時代にはあり得てならないことでしょう。自然への負荷を拡大しない、蔓延させないという、そういう心構えやわきまえというものが、今求められていると思います。食料にしても、水にしても、エネルギーにおいても、我々生物が生きる、命を未来に繋ぐ要素が危機的状況下にあります。その危機に対応するために、人間と地球とが共存できる仕組みを急ぎ構築しなければなりません。そうした精神を簡明に表した言葉がロハスだろうと思うのです。
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