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ローハスインタビュー

Vol.11 [2006年6月23日更新]
佐々木 龍郎 氏 プロフィール
建築家
株式会社佐々木設計事務所 代表取締役
今回から連続で建築家の方に登場いただき、建物・住まいといった観点でお話をお聞きします。第1回目は、住宅設計に新しいスタイルを提案している佐々木設計事務所の佐々木龍郎氏。佐々木氏は現在、一般向け住宅や介護施設などの設計を行うだけでなく、大学の講師や街づくりへの参画など広範囲な活動をされています。今回はLOHASな暮らしを考える範囲を少し広げ、「都市の高密度化」「高密度化に対する住宅・エリアとしての工夫」といったことを中心に佐々木氏にお聞きしました。
佐々木 龍郎 氏
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都市の高密度化が進む

それでは都市における住宅設計について考える時の前提として、まずは都市の「高密度化」について触れたいと思います。

今、都市の密度が急速に高まっているのですが要因は大きく3つあります。一つ目の要因は都市に住む人口が増え続けていること、二つ目の要因は一人一人の所有する空間が増えていることです。

例えば私は以前、9坪ハウスという50年前の最小限住居のリバイバルプロジェクトに携わったことがあります。50年前の住居ということでしたので、当時の50m2に4人家族が住むという設定を元にしていました。これに対して最近の4人家族のための住居と言えば80〜100m2のものも少なくありません。1人あたりの空間はほぼ倍の大きさですよね。だから都市の高密度化が進んで当然です。しかしこの広い家ですが、実際に内部を体験するとそんなに広くなった感じがしないのです。

それは部屋の大きさは昔と変わらずに個室の数が増えたり、それをつなぐ廊下の面積が増えたり、トイレも2カ所になったりと、つまり個々の空間のスケールが変わらないまま家が膨張しているからなのです。ですから昔に比べるとすごく広い家のはずなのに、大型化したテレビを置いてみるとあまり快適でない、目に負担がかかって楽しめない、どうも居間の大きさが足りない気がする、など変なことが起こってくるのです。この辺りは、何か少しピントがずれているように思います。

さて高密度化の三つ目の要因ですが、それはライフスタイルの選択肢の広がりに伴い、住宅以外の例えば商業施設などの容積が飛躍的に増えていることです。商業施設は立体駐車場などの交通面も含めて建築化されるので、影響は大きくなります。都市におけるライフスタイルと言った場合には、実はほとんどの場合建築が関係してくるので、ライフスタイルが多様化すれば都市空間における建築の占める割合が増えるのは当たり前と言えるのです。


都市の高密度化に対して工夫できることは?

都市の高密度化に対処するには、様々なレベルで、いかに「余裕」を持たせられるかということに尽きますね。例を挙げましょう。

まず住宅の設計時であれば、施主さんに「自分にとって住まいに本当に必要と感じているもの」を教えていただきます。つまり、話を聞きながら住まい手にとっての「豊かさの最小限」のようなものをはっきりさせてもらい、それを中心に住宅を組み立てるのです。

もう少し具体的に言うと「いつも10人以上でパーティーするのでダイニングキッチンは30畳欲しいけど、居間はラブチェアと14型のテレビがあればいいし、寝室なんてベッドが2つ入ればいいの」とおっしゃる方にとっての「豊かさの最小限」は「30畳のDK」です。他の空間は割り切ることができます。限られた面積の土地・建物の中で余裕を実現するためには、すべてを平均的に準備するのではなく、大切にする場所と、割り切る場所のメリハリをきちんとつけていくことが重要なポイントです。

もちろんメリハリだけでなく、最初に触れたテレビの大型化などに対して、目が疲れることなく楽しめるようなレイアウトを提案することも心がけます。
今の日本人はテレビ、パソコン、携帯電話と3つのサイズの画面に包囲された生活を送っているので、目に対するストレスは相当なものです。その中でもテレビは目とテレビの位置関係が大切ですから、部屋のサイズ、プロポーション等、住宅のプランニングの中で工夫する必要があります。

次に土地と建物の関係で言えば、建物と建物との間の空間や、未来まで空いていることが担保されている前面道路などを活用して、採光や風通しを確保するように努力しています。採光も必ずしも南側からだけではなく、他の建物壁からの反射光も含めて様々な取り方を工夫しますし、風通しについても水平の通り道だけではなく、下から入って上へ抜けるような断面的な通風を考えることも効果的です。

ただ最近、住宅の敷地として容積率200%という土地が増えてきています。これは元々の第一種低層住居専用地域容積率である80〜100%と比較すると倍以上になります。100%でも駐車場などを取ると庭もほとんど残らず、当然家の周りのゆとりは取れないのですが、さらに容積率200%をすべて使い切ると敷地に対する建物の余裕は全く無くなってしまいます。

私が設計するときは現行の法律内での最大容積を使い切るのではなく、余裕を持った作りを薦めてはみるのですが、土地は高価なものですし施主さんの「土地を最大限使いたい」という気持ちもわかります。


そうなってくると、都市の高密度化に対しては個別の住宅設計における余裕を持った作りも大切なのですが、それに加えてもう少し考える範囲を広げて、居住周辺の「エリア」として高密度化に対応し、エリアとしての余裕を考えていくことが重要です。


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Contents
ローハスインタビュー
Vol.23:[2007/10/12]
山本 義春 氏
東京大学大学院教育学研究科
身体教育学講座教授 (教育生理学分野担当)
Vol.22:[2007/3/29]
片山 右京 氏
Team UKYO 代表 大阪産業大学客員教授
Vol.21:[2007/3/28]
岡安 雅人 氏
木造住宅設計所 萌芽舎一級建築士事務所 主宰
Vol.20:[2007/3/23]
小町 晴久 氏
小町建築アトリエ 代表
Vol.19:[2007/3/16]
中川 重年 氏
京都学園大学バイオ環境学部 教授
全国雑木林会議世話人
Vol.18:[2007/2/28]
鉾井 修一 氏
京都大学大学院
工学研究科 建築学専攻 教授
Vol.17:[2007/2/23]
甲斐 徹郎 氏
株式会社チームネット代表取締役
エコロジー住宅市民学校 主催
Vol.16:[2007/1/31]
涌井 雅之 氏
桐蔭横浜大学 特任教授
Vol.15:[2006/11/30]
米森 公彦 氏
一級建築士事務所
米森建築設計事務所 主宰
Vol.14:[2006/9/22]
安月 浩 氏、絹山 実 氏
ガス暖炉メーカー
株式会社ダンロックス
Vol.13:[2006/8/25]
丸谷 博男 氏
建築家
一級建築士事務所 (株)エーアンドエーセントラル 代表
Vol.12:[2006/6/29]
長房 直 氏、加瀬澤 文芳 氏、中安 博司 氏
住まいづくりフォーラム
Vol.11:[2006/6/23]
佐々木 龍郎 氏
建築家
株式会社佐々木設計事務所 代表取締役
Vol.10:[2006/3/30]
尾島 俊雄 氏
早稲田大学建築学科 教授
Vol.09:[2006/3/17]
堀尾 正靭 氏
東京農工大学大学院
共生科学技術研究部 教授
Vol.08:[2006/2/13]
望月 久美子氏
株式会社東急住生活研究所 所長
住文化研究協議会 企画委員会 委員長
Vol.07:[2006/1/27]
金子 成彦 氏
東京大学大学院
工学系研究科機械工学専攻 教授
Vol.06:[2005/12/19]
坊垣 和明 氏
独立行政法人建築研究所
首席研究員
Vol.05:[2005/11/28]
駒城 素子 氏
お茶の水女子大学
生活科学部人間・環境科学科 教授
Vol.04:[2005/10/5]
山本 良一 氏
東京大学生産技術研究所 サステナブル材料・国際研究センター 教授
Vol.03:[2005/9/9]
秋元 孝之 氏
関東学院大学工学部建築学科 教授
Vol.02:[2005/8/19]
尾島 俊雄 氏
早稲田大学建築学科 教授
Vol.01:[2005/7/29]
小畑 晴治 氏
独立行政法人都市再生機構
都市住宅技術研究所 所長

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