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[2006年3月30日更新]
| 尾島 俊雄 氏 |
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早稲田大学建築学科 教授 |
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早稲田大学尾島先生は2回目のご登場となります。前回は先生の研究室で、都市の住まいや建築物に関する問題点を中心にご紹介しました。今回は先生の新しい事務所に場所を移し、これからの日本における生活者の暮らしと住宅のあり方について伺っています。新事務所を開くことになった理由も含めてご覧ください。 |
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| 前回は、生活者を守るべき建築物がはらむ危険性とその法体系についてお話ししました。今すぐに対処すべき課題でしたので、学術会議として政府に勧告をしたこともお話しましたね。結果的にこの件はマンションの耐震性に関する事件、建築構造計算偽装問題として広く知られることになりましたが、これからは住まい手も自分の家について意識を高くしていかないといけませんね。 |
さて今回は前回と趣向を変えてLOHASらしく、ライフスタイル、価値観や生き方のお話をしましょう。ライフスタイルを語る上で、私が非常に重要だと考えているのは60代〜90代、いわゆる定年後の暮らし方です。
今まで一生懸命勤めあげた会社は「退職後については知りませんよ、ご自由に生きてください」と言う。仕事をしようと思えばまだまだ働けるし、今の時代では90歳まで元気に暮らす人がたくさんいます。ところが60歳まで自分の人生を懸けて働いてきて、いざ60歳になったら「はい、サヨウナラ」。これではまるで廃仏毀釈です。人間としての尊厳もまるでありません。
日本はすでにモノを求める時代を通り過ぎ、精神的な価値を求めるいわば成熟した時代に入っています。だから私は生き方に関する考えを変えたほうがいいと思っているんですよ。人間は60〜90代という実りある人生を生きるため、60歳までは一生懸命働くのだと。これが競争社会から解放された人間の尊厳としてのライフスタイル、私の考えるLOHASです。 |
大学では毎日が忙しく、慌しい生活を送っています。でも私もあと2年で定年なのですよ。それで自分の今後の人生についてだいぶ考えたのですが、昔海外で経験したことが印象に残っていてね、それでここに事務所を開くことにしました。その経験というのは、20年前にイタリアの田舎のほうに行ったときにとても素敵な光景に出会ったことです。
どんな光景かというと、70〜80歳のおじいさんが夕食をとりにレストランに来ていたのですが、誰に見せるわけでもないのに、彼はピカピカに光る革靴に蝶ネクタイ、カッコいいワイシャツを身に付けて優雅にワインを傾けているのです。ゆったりと音楽に耳を傾け、まわりの人達と楽しそうに会話する。たまに若い女性をからかったりしてね。日常生活が一つの景観として成り立っていた。私はこれを目の当たりにして、60歳を過ぎた後の生き方とはこうあるべきだと思ったのですよ。
忙しいという字は、心を亡くすと書くでしょう?そういう生活は60歳まで。そのあとは心を大切にしていきたい。だから忙しさから離れた生活を送れるよう、ここに事務所を開いたのです。銀座はいいですよ。都心にあるのにあくせくしていない、ゆったりと生きることができますね。
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| ■尾島先生が今後したいこと 〜LOHASな人材の「リユース」〜 |
まだ定年まで少しありますが、だんだんと始めていることがあります。それは、定年を迎えて行き場を失ってしまった、日本が誇る知的財産を集約して大きなことを成し遂げるということです。私の知り合いや教え子には、本当に優秀な方、日本を代表するような方がたくさんいらっしゃいます。
ところが定年を迎えたら、その人、その知的財産が姥捨て山行きになっています。でも私の考えるLOHASでは、60歳からが始まりですから。一度定年を迎え、活躍の場を失ってしまった人材に声をかけて集まってもらって、日本の文化を支えるような、それぞれが持つ貴重な知的財産を広く還元できるようなことをしたいと考えています。
(次のページに続く) |
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