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ローハスインタビュー

Vol.09 [2006年3月17日更新]
堀尾 正靭 氏 プロフィール
東京農工大学大学院 共生科学技術研究部 教授
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どうしても金属やプラスチックスでなければならないところを除いて、木や竹やツルやわらを使う。家庭にも囲炉裏を作って、秋冬は火のあるところで団欒する。薪、木質ペレットや炭の新しい利用を考える。
武蔵五日市駅近くの呉服屋さん「きれ屋」さんは、喫茶店もやっておられますが、冬の暖房にはいくつもの火鉢が結構活躍しています。バイオマスというキーワードをきっかけに新しい文化をつくって、日本全体を美しく、楽しい場所にする。日本の各地と都会との交流をもっともっと盛んにして、地方を元気にする。この2〜3年私はそんな取り組みを進めてきましたが、これほど楽しいことは無いと思っています。

私達一人一人が本当の癒しとはなにか、本当の気持ちのいいことはなにか、本当に元気がでることは何だ、ということを考えるようになれば、都会で火を燃やすこともできない、虫に触るのもイヤだとかいう子供もいなくなるでしょう。火も扱えるし、裸足で走り回って虫にも触れる、でも殺さないよ、とかそういう記憶や感性を持つ子供を育てられる。いろいろな相乗効果でいい日本になると思います。


幅広い分野にわたる感覚を持つために

要するに、私はバイオマスというのは単なるエネルギー源ではなく文化をつくるものだと思っているのです。しかし言うのは簡単ですが、バイオマスの文化的側面を実現させるためには技術ももちろんですが、幅広い知識と感覚(センス)が必要ですね。工学系だからといって工学だけ考えていては本当に楽しい世界の実現は不可能です。ポスト工業化社会の工学部では、もっと芸術的な素養も磨けるような場にならなければいけないと思います。

そんな考えで芸術家の渡邊林太郎さん(逗子市在住)や徳寿工作所社長谷本友秀さん、新島物産の木村聡史さん(当時学生)たちとコラボレーションして作った作品の一例がこの『輝泡燈(きほうとう)』です。私たちの専門の一つである粉体工学や流動層の技術を使い、そこに遊び心を加えてみたらこんなランプができました、といったところですね。
アクリル製の二重管の中に手すきの和紙、それと活性炭の粉を入れまして、下から空気を送っています。そうすると活性炭が流動化して、バブルが出来たところから光が漏れ出すのです。輝く泡のランプ、で輝泡燈です。水や液体はまったく使っていません。国内外で結構面白いじゃないか、と評価をいただいています。

これからの技術者にとっては、まず作り上げた技術をアピールしていく技術、コミュニケーション能力がこれまでにもまして重要ですが、それにととまらず、持続型社会や、伝統とのつながりと活力とが両立した文化作りへの貢献の視点が必要です。

技術的なセンスの他、文学、文化的な感覚も持っていたい。絶対ではないけれども、豊かな知的社会のためにはぜひ持っていただきたいですね。企業が技術を事業化するにしても、効率だとか競争だとかだけを見ていくのではなくて、技術がつくる文化も含めて検討していただけるといいなと思います。
輝泡燈(きほうとう)
輝泡燈(きほうとう)の動画をご覧になれます。
WMVファイル:546KB
MOVファイル:2,264KB
※動画をご覧になるにはWindows Media Player 10以上(WMVファイル)、またはQuickTime7以上(MOVファイル)が必要です。

堀尾 正靭 氏
技術や文化を語りますが、私自身は仕事人間になってしまっているから、定年にならないとまともな生活者になれないと思っています(笑)。話は戻りますが、そうは言ってもやはり囲炉裏とかですね、何か伝統文化的なものが家庭に欲しいですね。
炭のように扱い方で下手をするとCOが出てしまうようなものでも、そのような点は今の技術で工夫して改善していけばいい。なにか家庭の中で火が見える生活というのをひとつの文化として取り入れていきたいものです。そもそも日本に合うやり方、日本人の肌に合うやり方というものがあるはずですよ。考えていきましょう。

本日のキーワード
バイオマスエネルギー、人類が生存できるシナリオ、技術と文化、日本人の肌に合うやり方を探す

MakeLohas 編集部コメント
人類の生存のために何が必要か?現在の生活を維持していくのであれば当然エネルギーが必要です。しかし実際にはそれだけでは不十分で、エネルギー、水、食料、危機管理、そして文化までもすべてまとめて考えていく必要があります。

堀尾先生はこの分野を「生存学」と呼んでいるそうです。私たちもエネルギー会社として分散型エネルギーバイオマスの研究に取り組んでいます。しかしながら確かに工学的研究者は文化的な視点が欠けがちです。ぜひこの視点を意識して、生活者が幸せに生存していける技術開発につなげていきたいと思います。
MakeLohas 編集部


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Contents
ローハスインタビュー
Vol.23:[2007/10/12]
山本 義春 氏
東京大学大学院教育学研究科
身体教育学講座教授 (教育生理学分野担当)
Vol.22:[2007/3/29]
片山 右京 氏
Team UKYO 代表 大阪産業大学客員教授
Vol.21:[2007/3/28]
岡安 雅人 氏
木造住宅設計所 萌芽舎一級建築士事務所 主宰
Vol.20:[2007/3/23]
小町 晴久 氏
小町建築アトリエ 代表
Vol.19:[2007/3/16]
中川 重年 氏
京都学園大学バイオ環境学部 教授
全国雑木林会議世話人
Vol.18:[2007/2/28]
鉾井 修一 氏
京都大学大学院
工学研究科 建築学専攻 教授
Vol.17:[2007/2/23]
甲斐 徹郎 氏
株式会社チームネット代表取締役
エコロジー住宅市民学校 主催
Vol.16:[2007/1/31]
涌井 雅之 氏
桐蔭横浜大学 特任教授
Vol.15:[2006/11/30]
米森 公彦 氏
一級建築士事務所
米森建築設計事務所 主宰
Vol.14:[2006/9/22]
安月 浩 氏、絹山 実 氏
ガス暖炉メーカー
株式会社ダンロックス
Vol.13:[2006/8/25]
丸谷 博男 氏
建築家
一級建築士事務所 (株)エーアンドエーセントラル 代表
Vol.12:[2006/6/29]
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Vol.11:[2006/6/23]
佐々木 龍郎 氏
建築家
株式会社佐々木設計事務所 代表取締役
Vol.10:[2006/3/30]
尾島 俊雄 氏
早稲田大学建築学科 教授
Vol.09:[2006/3/17]
堀尾 正靭 氏
東京農工大学大学院
共生科学技術研究部 教授
Vol.08:[2006/2/13]
望月 久美子氏
株式会社東急住生活研究所 所長
住文化研究協議会 企画委員会 委員長
Vol.07:[2006/1/27]
金子 成彦 氏
東京大学大学院
工学系研究科機械工学専攻 教授
Vol.06:[2005/12/19]
坊垣 和明 氏
独立行政法人建築研究所
首席研究員
Vol.05:[2005/11/28]
駒城 素子 氏
お茶の水女子大学
生活科学部人間・環境科学科 教授
Vol.04:[2005/10/5]
山本 良一 氏
東京大学生産技術研究所 サステナブル材料・国際研究センター 教授
Vol.03:[2005/9/9]
秋元 孝之 氏
関東学院大学工学部建築学科 教授
Vol.02:[2005/8/19]
尾島 俊雄 氏
早稲田大学建築学科 教授
Vol.01:[2005/7/29]
小畑 晴治 氏
独立行政法人都市再生機構
都市住宅技術研究所 所長

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