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[2005年8月19日更新]
| 尾島 俊雄 氏 |
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早稲田大学建築学科 教授 |
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もう少し法律についてご説明します。建築基準法の第8条に、「建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない」と規定されています。しかし一方で所有者、管理人には民法上の所有権や財産権が発生し、私有財産として認められているんです。つまり結果として現実的に危険な建築物であっても、すでに建ってしまっている以上「私財」ですから、私財に対して行政や設計者が立ち入ることができないんです。
大きな地震が発生すれば、生活者のいる建築物の大部分が破損すると分かっているにもかかわらず行政が関われない。たとえ事前に耐震診断を実施しても、その結果を公表できない。個人の財産権を傷つけることになりますから。
ある法律学者に言わせると、今の法体系では建物は殺人機器そのものだそうです。建物に近寄らないほうが安全なんですよ。本来生活者を守ってくれるシェルターであるべきなのに。 |
法律の話をしていますがここで注意して欲しいのは、建物や家は生活者にも直接関わる話ですから、皆さん他人事ではないということですね。法改正がなされた場合、震災のリポートをテレビで見たことがあるかもしれませんが、耐震診断の結果が悪ければ危険建築物として赤紙が貼られます。それはそこに住むどころか近寄ることすらできなくなるわけです。そうなる前に生活者も自分で考えて、耐震補強をしっかり実行しければなりません。大変なことですが、耐震補強にお金を掛けることと危険建築物に潰されて死ぬこと、この二つを比較して考えてみてください。決して他人任せの話ではないのですから。
余談ですが幸田露伴の小説に、五重塔というものがあります。のっそり十兵衛というさえない大工がいまして、やっとのことで受注した五重塔を建てるんです。そして猛烈な台風が来るとですね、のっそり十兵衛も、十兵衛に発注した和尚さんも、自分たちの五重塔は絶対に倒れないと信じるんですね。そして十兵衛は塔が倒れるくらいなら死んだほうがいい!って揺れる塔に登って命がけで五重塔を守るんです。倒れるなら自分も死にます、ってね。作り手も施主も自分がつくったものに信念を持って、命を懸ける話なんです。実は私はこの話に感動して建築家になったんですが(笑)。
生活者もこのくらいの意識を持って自分の住まいや建物を考えるようになるといいですよね。
都市での生活という生簀(いけす)の中だけで生活者視点を考えてはいけません。もっと広い世界から見た生活者というものも存在しています。これはLOHASについても言えることだと思います。
このお話はぜひ2回、3回と続けていきましょう。ぜひまた来てくださいね。 |
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| 地震、耐震改修、生活者の意識、広い世界からみた生活者 |
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