| 柏木 |
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そうすると、住宅を100年もたせるためには「政策の問題」、「家族構成など社会的な問題」、「日本人の昔からの意識感覚の問題」があるわけですね。私はこれらに加えてもう1つ、「デザインの問題」を挙げたいと思います。構造の堅牢さで残る建物はあったとしても、デザインと一体化した心地よさが保障されていないから壊されてしまうというものもあるのではないでしょうか。
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| 田辺 |
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大正時代に技術の粋を集めて建設されたオフィスビルが建て替えられました。冷房が普及する前に立てられたこのビルは、天井高が高く四方の向きによって窓の位置や大きさなどを全部考えて設計されていました。優れたデザインです。これを平気で壊してしまいます。耐震基準を満たしていないというのが表向きの理由ですが、経済原則なのです。ですから一般的な住宅に関しては何をかいわんや、ですよね。経済原則があるデザインでなければなかなか難しいと思います。
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| 柏木 |
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欧米ですと古い中古の家に手を入れて住むと補助がありますよね。逆に新しく立て直すと税が高くなるという制度を導入しているところも多いですし。
日本ではこれは「日本の家の定番」が確立できていないから導入できないのだと思います。日本の近代というのは、和洋折衷で、せめぎあいながらつじつまを合わせてつくってきたものですので、住宅の定番を失っているのではないでしょうか。
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| 田辺 |
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それは東南アジアの服でも同じようなことが言えますね。日本の着物を含めてそもそも布を裁つのは不浄だ、という考え方があります。着物は解体して洗い張りできるのです。しかし西洋文化の流入とともに型紙にあわせて布を裁って、部品の集合として服をつくるようになりました。解体してもこの部品は他の人の服にはまず使用できない。
布を裁たないで着るような文化が見えなくなっていますね。
話は変わりますが、私の研究室には人肌に暖かいサーマルマネキンというものがありまして、これに服を着せて服の保温性能を調べたり、車に乗せてみて快適性の評価などをしています。サーマルマネキンで調べると東南アジアの伝統的な衣服はほんの少しの風でも非常に涼しい。蒸暑地域の生活の知恵が詰まっているのです。
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| 柏木 |
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デザインと日常生活が密接に関わっているのですね。確かに住宅のデザインについても同じことが言えると思います。
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| 田辺 |
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それと100年もつ住宅に関して、考えなければならないことが一点あります。1981年以前の新耐震基準に適合していない住宅をどうするのか、ということです。これをそのまま残して本当に良いのか?ということです。良いものを残していくことは必要なのですが、この点をどう考えるかですね。
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| 柏木 |
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これまでの戦後の日本では、永く残すことを考えずにつくっていましたからね。むしろ今、ここで心を入れ替えて永く残すことに意識を入れ替えて、定番となるデザインを確立して、インフィル(内装、設備)を取り替えられるようにする、などいくつかの条件を整えていかないとより良い環境にはならないでしょうね。
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| 田辺 |
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その通りですね。
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