| 柏木 |
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では実際の住宅について伺いたいと思います。
今の日本には100年単位で残っている建物というのは少なくなっていますよね。ヨーロッパに行ってみると、100年残っている建物は珍しく無い感じがしますよね
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| 田辺 |
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そうですね。
日本の戸建住宅の話ですが、寿命は大体30〜40年程度と言われています。欧米と比較すると半分以下の年数です。
かなり立派な住宅でも、どんどん取り壊されています。この理由は実は物理的な耐久性が主原因ではありません。家族の様態が変わって住む人数が変わった、など社会的な要因で壊されることがほとんどですね。
ですから100年もつ住宅というものを物理的な技術論で語っても、ほとんど解決できないでしょうね。住宅所有に関する社会的コンセンサスや形態を考えなければならないと思います。
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| 柏木 |
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私はこれについては税制の問題も大きいと思っています。戦後の税制はスクラップアンドビルド、どんどん壊して新しいものを作ったほうが税金は安くなりますよね。
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| 田辺 |
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そうですね。住宅ローンの金利もそうですよね。今でこそ中古住宅にも新築並みの融資がされるようになってきましたが、以前は土地を除いた中古住宅そのものの資産価値はマイナスになることもあり、評価が難しく、住宅ローンが組みにくい状態がありました。新築であれば制度も充実している。金利も優遇されている。そうすると新築物件の安心などから立て替えることが行われていたのだと思います。
それともう1つ、日本人独特の感性によって100年ものの住宅があまり残らないのでは、と思います。日本人というものは、前に住んでいた人の履歴が残っていることを望まない、という傾向がある気がします。ヨーロッパの街に行きますと、ここで誰が生まれた、誰が生活した、誰が死んだ、など多くの住宅の外壁などにプレートが設置してありますよね。でもこれが日本の場合、自宅にプレートがあったら受け入れられないことの方が多いと思いますよ。
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| 柏木 |
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日本人はそうなのですかね。
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| 田辺 |
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きれいにし直す、新しくする、というときに以前の因縁も新しくしたいという感覚を持っているのではないでしょうか。このあたりの感覚がヨーロッパとは違うと思います。
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| 柏木 |
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私の場合前に住んでいた方が文豪だとか、自分の好きな人物の部屋であったのならそこに住みたいと思うかもしれませんね。
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| 田辺 |
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では文豪が執筆活動していた部屋ならいいですが、文豪が亡くなった部屋です、と言われるとどうですか?(笑)
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| 柏木 |
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それは…難しいですね(笑)
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| 田辺 |
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それ以前に棲んでいた家族の生活の痕跡を必ずしも望まない。ですから日本の住宅を100年もたせようとするときには、きちんと儀式のようなものを行っていかないと難しいと思いますね。
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