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ローハス対談
コーディネーター:柏木 博 氏 (武蔵野美術大学教授)
2005年1月31日更新
Vol.03
田辺新一氏(早稲田大学教授)に聞く プロフィール
そこは広く議論すべきところでしょうね。
本当にメンテナンスフリーがいいのかどうか。(1/5)
第3回対談者は早稲田大学教授の田辺新一氏です。室内温湿度環境やシックハウスなど、建築環境学の有識者としてご登場いただきました。建築の専門家ならではのお話をご紹介します。
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柏木 それでは本日は宜しくお願いいたします。

田辺 宜しくお願いします。


田辺先生の研究について

田辺 私は人間の周りの環境を研究対象としています。恩師は早稲田大学の木村建一先生でして、先生が研究を行われていたパッシブソーラーハウス()の住み心地評価のお手伝いから始まっています。その後、デンマーク工科大学でファンガー先生と出会ったことが大きな転機でした。温度や湿度など人間の周囲の微気候が人間の快適性にどういう影響を与えるか、ということを研究するようになりました。現在は室内の温熱環境だけでなくシックハウスなど人間の周りの空気の問題を研究し、さらに最近では光環境の研究を始めています。

※パッシブソーラーハウス…エアコンなどの冷暖房機器だけに頼ることなく、自然エネルギーを積極的に利用して快適な室内を実現した住宅。例えば夏は“ひさし”で室内に日射が入らないようにしたり、冬は太陽からの熱で屋根や床に熱を蓄えて暖房に利用したりする。日本の伝統的な住宅は自然とうまく共生しており、パッシブソーラーハウスの1つの形であるともいえる。


「快適」とは?

柏木 住宅内の空気環境や光環境といいますと、我々の生活の快適、心地よさと深く関わっていますよね。個体差があるかとは思うのですが、心地のいい室内の温度は例えば何℃になるのですか?

田辺 それは実は難しい問題なのです。それにお答えするにはまず快適の定義をしなければなりません。温熱環境を例に取ると普通我々が「快適」と呼ぶものは、暖房したり、冷房したり、「不快がない」状態を指します。積極的に快適とは区別して考えるのです。

では、暑くも寒くもない状態イコール「不快がない」状態かというとそうではありません。局部不快感と呼んでいますが、足元は涼しいけれど頭だけ暑いといったように上下に温度分布があると不快に感じますし、冬であればエアコン暖房の風が直接当たると不快になります。逆に床暖房ですと嫌な気流が少ないので快適です。

また、冷たい窓の近くにいますと、冷放射によって体の一部に寒さを感じます。同様に床面が熱すぎたり冷たすぎても駄目です。
これらすべてがなくなって初めて、不快がない状態の快適になるのです。

柏木 複雑ですね。

田辺 ええ。
人間が本当に「気持ちがいい」、と感じるのは実は不快なところから快適なところに変わる瞬間にあるのですよ。すごく寒い日に温泉に入るとか、そういう瞬間ですね。
ではこういった刺激的な感覚を繰り返せば良いのかといいますと、そうではありません。快適、快感を繰り返すとそれはまた不快になってしまうのです。

柏木 なるほど。そうすると「快適」とはこれだ、と決めにくいのですね。

田辺 ええ。ですから、不快な状態から快適な状態に、「自ら選択して移れる状態にあること」が「快適」だと言えます。そのため私は空調してある一定温度に制御した状態が快適だとは考えていません。

柏木 それはよくわかりますね。
あらゆる事柄というものが自分の手の内にあるということは快適、心地いいと感じますね。その自由の度合いがメンタルな部分で心地よさに効いていますね。

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Contents
ローハス対談
柏木博

1946年生まれ。
武蔵野美術大学卒業。
現在同校教授。
デザイン評論家。
専攻は近代デザイン史。

Vol.03:[2005/01/31]
そこは広く議論すべきところでしょうね。本当にメンテナンスフリーがいいのかどうか。
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Vol.01:[2004/12/01]
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